波高き東京湾へ帆走出航
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  帆 走 訓 練       田村義智
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  始めて東京に出てきた17,8歳の中学生も、半年余り海軍の飯を食うといくらか軍人らしく見えてくる。訓練にも余裕のようなものが感じられるようになった頃、カッターの台座に一本の丸太を立ててこれをマストにし、前後に帆を張って走る帆走訓練が始まった。8m以上の風の日は避け、風向きと帆と艇の進行についての基礎知識の勉強であった。
 カッターは櫂座12の小艇ではあるが、救命艇として活躍するときは40名が乗れる。
 船乗りの常識として帆走の基本操作は欠かせない。座學と訓育に興味津々取り組んだ。風向きに関わらず帆の張り方と舵の取り方で、風上の目的地に行くことを覚えると嬉しくて堪らない。
 やがて遊泳訓練が始まる房総海岸、品川台場と、穏やかな東京湾内を縦横に走り回った海の遠足気分に浸った。
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 BGM 巡航節